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「こないだ有名なオーケストラがきたから聴いてきたけど、素晴らしかったよ」
「そうかい、よかったね」
「君も聴くことはあるのかい?」
「毎日聞いてるよ」
「毎日?ああ、CDで聴いてるってことだろう」
「いや、生演奏だよ、もちろん」
「まさか〜」
「ははは、こうして庭にいて自然の音に耳を澄ますのさ。楽団員は
今の時期はコオロギ、鈴虫に小鳥たち、そして木々や風が基調を作ってくれる」
「そういうことね」
この楽団は気前が良くて、いつでもタダで素晴らしい生演奏をしてくれる
なにしろすごいのは、途絶えることがない上に、二度と同じ旋律を弾かない |
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「この子、お腹痛くて吐いたって保健室から連絡があって、帰されてきたんです」
「うーん、どうも熱中症みたいな感じだね」
「水泳大会に、バレエの発表会とか、かなり過密なスケジュールなのは確かなんですけど」
「そりゃ大変だ、エライね」
「今日もこれから頑張ってもらわないといけないので、点滴してもらえますか?」
「点滴はいいけど、体が無理だってサインを出してるんです。それをシカトすると
もっとひどい状態になりかねませんよ、我慢しないで、ムリだって言っていいからね」
(子供は親の夢や希望を託す道具じゃないし、一個の人格として尊重しなければ)
いつまでも「気合だー」って子離れのできない親たちが多すぎます |
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「最近物忘れがあるので脳外科に行ったらこの薬をくれたんです」
「へー、これはアルツハイマーの薬ですね。そんなにボケてるとは思えないけど」
「いや、結構物忘れがひどいもんで」
「ただの健忘と認知症はちょっと違うんですけどね」
「はあ」
「俺のメガネどこ行ったっけ、なんて僕でもやりますけど、認知症がひどいと
娘に向かって、あんた誰?とか、オレはまだ昼飯食べてねーぞ、てなる」
「ははは」
「第一、自分がぼけてると認める認知症のヒトはまずいないでしょう。物忘れに
気がついている時点で、まだ大丈夫ということです」
「ならいいんですが」
よっぱらいも「オレは全然よってねえぞ」という時点で、もう証明してるのと同じです |
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「今日は検診しに来たんですけど、看護婦さんがしばらく検査してないから
胃カメラもしてみたら、というので、やってもらえますか?」
「いいですよ、喜んで!」
(検査終了後)「今回は、心の準備なしに来たんですけど、割に楽に飲めました」
「そうでしょう、心の準備といたって、何かを用意できるわけでもない、
あれこれ考えて心配で夜も眠れなくなるのが落ちで、かえってぶっつけ本番のほうが
無抵抗で楽だったりするんですよ」
「そうかもしれません」
ビギナーズ・ラックというやつで、初心忘るべからずですな |
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「おばあちゃん足がむくんでるので、調べてもらおうと思って来ました」
「これぐらいのむくみはそんなにひどくないけどなあ、本人が来たいって?」
「いいえ」
「痛いとかの訴えは?」
「ないですね」
「デイサービスのヘルパーさんが、これ病院に行って調べたほうがいいわよ、でしょう?」
「じつはそうです」
「以前、血圧が高いけど薬飲みたくないってやめた方ですよ。この程度では
むくみを取る薬はいらないし、出しても飲まないでしょうね。94歳になって、
歩けるし喋れるし普通に食べられる。この時点で金メダルですけどね」
人生というオリンピックではまさに「参加することに意義がある」のですから |
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無意識に反応してしまうクセがあるようです
「ハイ胸の音を聞きますよ」とシャツをまくると、なぜかバンザイをしてしまう
「今度は背中の音を聞きますよ」というとなぜか前かがみに丸くなってしまう
「ノドを見ますからアーと声を出して」「・・・」と歌を忘れたカナリアになってしまう
「ノドを見ますから大きく口を開けて」でなぜか両目も見開いて天井を見る
「血圧測ります」「これ取らなくていいですか」と毎回腕時計を外そうとする
番外編:大豆くらいの真っ黒なへそのごまを大事に育てている(女性に多い) |
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「ねえパパ、あとどれくらいでつくの?」
「そうだな一時間くらいかな」
「えーそんなにー」
「ほら見てごらん、川で魚釣りをしてる人がいるよ!」
「あと何分くらい?」
「えっ、60分かな」
「ふーん」
「今度は高い山だ、ほら」
「早くつかないかなあ」
「気持ちはわかるけど、途中も楽しもうよ」
(目的地についてもそこにいるのは今と同じお前。周りの景色と時計の針が
変わっただけ。いま、にたどり着くのに時間は一瞬もかからないんだけど)
「さー着いたぞ」
「ねえ、なん時になったら帰るの?」
「・・・」
とはいえ、子供たちを’今’から追い出したのは僕だからなあ・・・ |
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「最近眠れないので睡眠薬いただこうと思って」
「何か心配事でも?」
「ええ、お隣さんがホント嫌な人で、露骨に嫌がらせしてくるし、イライラして」
「そうですか」
「聞いてくださいよ、こないだなんか・・ (数分間)ひどいでしょう?」
「まあ、そのヒトが本当にそのつもりなのか実際わからないんじゃないですか」
「そんなことないです、ひどく性格悪いんです、たとえば(数分間)」
「まあ、ただその嫌な人に貴重な時間とあなたの平和を奪われるのは悔しくないですか?」
「ええ、だからどうやったら仕返しできるかと思って悶々として・・・」
「重症ですな
そのヒトが強大なパワーを持ってるんじゃなく、与えてるのは実は自分だということに
気が付きましょう、でないとその人が土下座したとしても、新しい嫌な人が出てくる |
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「シャッター街や田んぼ集落なんかをアートで活性化しようっていう活動が盛んなようだね」
「日頃見慣れた風景も、アートなるものを配置することで別次元のような魅力を放ち始める」
「でも、一体なんだこれというのもあるけど」
「それは頭で説明しよう理解しようとするからだよ。不思議に身を任せればいい」
「フシギねえ」
「僕らは周りの世界を、見慣れたものとしてわかってる、知っているってラベルを貼ると、
あとはよく見ようともしない。ホントは何も見えていないのに」
「子供が大人に『わっこれなに!?』『ああ、それはカブトムシだよ』みたいな」
「一方で細部を写真で切り取って、美だ、神の芸術だって持ち上げたりするけどね」
その視点がいつも身についてしまえば何もしなくてもこの世界が輝きはじめる
身につけるんじゃなくて、誕生以来重ねてきたフィルターを外すことですけどね |
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「君に人生最高のプレゼントをあげよう」
「おいおいどうしたんだ急に」
「まあいつものことだろう」
「確かに、で、もったいぶってるけど何をくれるんだい」
「人生最高のものってなんだと思う?」
「君のことだから、モノや金じゃないよな」
「もちろん」
「愛とか言い出すんじゃないだろうな?」
「間違いではないけどね」
「えっ、なんだろうな」
「実は、もう受け取ってるんだけどね」
「もうもらってる!」
今(=present)ここにいること。在る(=present)こと。これ以上にすごいことはない
それがいつもずーともらっているプレゼント(=present)なのさ |
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「1週間咳が止まらなくてタンは出るしノドはかれるし・・」
「今はやりの夏風邪ですかね、寝冷えしたんじゃないですか?」
「ええ、窓開けっぱなしで寝たら明け方結構涼しくて」
「たぶんねまあ、熱もないし食欲もあるし、お薬で様子をみましょう」
「はい」
するともどってらしていわく「あのう、マゴたちにうつるでしょうか?心配で」
「そりゃあ、ウイルスをまき散らしてたらうつらないとはいえないでしょう
マスク、手洗い、安静、濃厚に接触しない、できることをするだけです」
最悪の状況を「想定」して対策したら、あとは天に任せる。シンパイはいらない |
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553.強引 マイ・ウェイ Going my way |
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「せんせい、きょうはコレステロールの検査と心電図をお願いします
あと、いつもの薬全部と、イライラするので安定剤の注射もお願いします」
「はい、承知しました(いつものフルコースですね、笑)」
若かりし当初は(?)症状がどうの、保険がどうの、格闘しておりましたが
最近はいたって平静にスルーするようになりました。(いんだか悪いんだか)
重病でもなく(失礼)治療方針も自己完結型なのでかえって楽なのです |
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「オリンピックで盛り上がってるね、君も見てるだろう」
「まあね」
「じゃあ一番人に威張れるメダルはなんだか知ってるかい?」
「いばれる?そりゃあ金に決まってるじゃないか」
「違うんだ、銅メダルなんだよ」
「なんで?・・・まさか」
そう、「どう(銅)だ、すごいだろう(スギちゃん風に)」っていえる
それに「銅」という字は「金に同じ」と書いてあるじゃないか! |
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「きみは芸能人ゴシップなんかには興味ないんだろうね」
「なにそれ」
「最近はツイッターやブログのおかげで、誰かが呟いたのをネタに
これが波紋を呼んでますとか、論議をかもしてますとかぶち上げるのが多い」
「へえ、そうなんだ、正確には『波紋を呼びたい、論議を醸したい』んだろう」
「それそれ、ゴシップならまだいいさ、政治家個人の発言をわざわざ取り上げて
記事にして他国を煽って、あげく関係悪化のきっかけになっています、なんてやる」
「かつてそれがきっかけで戦争にまでなったことがあるのを忘れてるのかね」
だって、マスコミが嫌いな言葉、それは「平穏無事」だからね |
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「キミ最近武道を習ってるって聞いたけど、ホントウかい?」
「まあね」
「どんだけ強いの?」
「まだまだ初級レベルだよ」
「へえ、見てみたいもんだね」
「でも、僕はいつも天下無敵だけどね」
「えっ、そんなに強いのか?!」
「いや世間に倒すべき敵などいないと思っているから”敵がいない=無敵”なのさ」
「またそんな聖人君子みたいなこと言って」
「イタッ、なに急に殴るんだよ」
「これでもオレは敵じゃないのか!」
「ガハハハ」
なんでせっかくのかっこいい話のレベルを落とすんだよ |
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「ここ1ヶ月ばかし右の足の指先がしびれて痛いんですよ。知り合いに言ったら
それ痛風じゃねえかって言うもんで見てください」
「そうですか、腫れてないし、場所もちょっと典型的じゃないですね。
それにこないだの採血では尿酸も高くないし」
「痛風だったら大変だと思って」
「べつにそんなに怖い病気じゃないですし、おそらく違うでしょうね」
「痛風だとプリン体とかを控えないといけないって聞いたんですが」
「ですから、痛風じゃなければ関係ないわけですし・・」
「痛風だと腎臓にも悪いって言われたんですけど」
「ですから、違うのにそうやって話を積み重ねていっても意味がなくないですか?」
痛風だと思い込んでいろいろストーリーを作っていらしたんでしょうね |
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「なんだか髪の毛さわるとピリピリして痛いんだよね」
「何も出てませんね、熱もないし。風邪っけなのかな?」
「んだ、こないだ半袖で寝て寒くしたからかな・・・」
「きっとそうでしょう」
「あと、そうだ、これも見でけれす」
「あれ、傷が化膿してるじゃないですか」
「野良猫の子供チョしてらっけ指を噛まれだんだすよ」
「あちゃー」
関係ないと思うんでしょうが、意外とこういうのが原因だったりするんですね |
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「こうやっていつも川に水が流れてるのって、すごくないか」
「えっ?」
「もしここがサハラ砂漠だったら、みんな地面に額ずいて感謝するだろうな」
「それはそうだろうけど、ここは日本だし、珍しくもないじゃないか」
「そうか」
「日本中いたるところに川は流れてるし、逆に氾濫して被害すら出す」
「ここ何日も雨が降ってないのにこれだけの水が湧いて流れてくることに
もっとわれわれは感謝せにゃならんのじゃないかね」
「おいおい、お前だんだんモノの言い方がネイティブアメリカンの酋長見たくなってきたぞ」
「ましてや見ず知らず(水知らず)の土地の水を枯らすことに加担しちゃならん」 |
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「なんでこうよく小学生の列に車が突っ込むのかねえ」
「本当にかわいそうだな」
「守るすべがないから歯がゆいしな」
「運転手はこれからの仕事のこと、昨夜の夫婦喧嘩のことやら、過去と未来をさまよって
まさに『心ここにあらず』なんだろう。そしてボーとしていることにすら気付けない」
「道路ですれ違うドライバーの表情を観察してるといろいろとわかるよ」
「俺もつい考え事してるから気をつけないとな」
みんなが”いまここ”に十全に集中して居ること、それが究極の対策なんでしょうね |
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わたしが普段オヤジギャグを発しているのはご想像の通りですが(汗;)
「おまえ、自分で言う割にはヒトがいうとスルーしてシカトするよな」
と言われます。しかし親父ギャグにもレベルがあってですね・・・まいっか
「どこか具合の悪ところはないですか?」
「ねえな、まっ頭が悪いくらいかな、ガハハ」
「・・・」
トラックの運ちゃんの健診に行った時などによく聞かされました
あきれるくらいに、みなさん同じリアクションなんですよね
「そうですか」とも「ですよね」とも言えないし
「そんなことないでしょう」もそらぞらしい
ギャハハハーって何にも考えないで笑い飛ばすのが一番なんでしょうね |
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「雪も溶けていい陽気になりましたから、運動しましょうね」
「どういう運動がいいんですかね、ジムとか通ったらいいですかね」
「そんなお金かけなくてもいいですよ。ウオーキングが一般的ですけど
その気になれば、たたみ一畳のスペースがあれば大蓋できますよ」
「タタミイチジョウですか?」
「ええ、腕立て伏せ、腹筋、スクワット、例のダンベル体操から今はやりのコアトレーニングまで、
仕事の合間に部屋の中で10分もやればくたびれますよ」
「そうですか・・・」
あと、これが一番大事ですけど、モティベーション、ヤル気 ですね |
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「最近痩せたんじゃないですか?なにかやってるんですか」
「ええ、ちょっとダイエットしようと思って」
「どういうふうにですか」
「いままでは、毎日キチンと10時と3時におやつを食べていたんですがそれをやめたんです」
「・・・(唖然)」
「ダメですか?」
「だめですかって、糖尿病があって三度の食事も気をつけなきゃっていう人が、日に二回も
間食してるほうがダメに決まってるじゃないですか。第一『キチンと』というのは
普通良い習慣につける言葉じゃないかと思うんですけど!」
これからは飼い犬のように毎日キチンとお散歩してくださいな |
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「うちの子が御多分にもれずゲームばっかりやっててね」
「うちもそうさ」
「全部が悪いとは言わないけど、かわいそうだと思うことがあるよ」
「可哀想?」
「うん、子供会のイベントなんかで企画しても、最初のうち『退屈だ、つまんない』になる。
刺激の強い緊張状態に慣らされて、平凡な日常の楽しみを失ってる」
「それはいえるね、『退屈だ』というのはその企画ではなく『退屈な人間だ』が
ぼくの口癖なんだけどね」
「いわゆる町おこしのイベントにも感じるね、時々。
都会生活で上げられた「楽しい」の閾値に引っかかるような企画をしないと
つまらないと感じてしまう。閾値が低いのは東北人が誇る人間性だと思うよ |
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「ギブスしてどうしたんですか」
「こないだ玄関の前で転んでしまって手首と腰の骨を折ってしまったんです」
「それは大変でしたねえ」
「ええ、それでここ一ヶ月家で安静にしていたら具合が悪くなって・・」
「どうしてですか」
「家にコモってなにもしないでいたら、あれこれ考えて心配で夜も眠れなくなってしまったんですよ、
それで安定剤もらおうと思って」
心も折れないようにギブスが必要ですね |
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「きょうは久しぶりに家を出て歩いてきたので、息が切れますね」
「そうでしょう、ずーと冬の間、家にこもって寝たり起きたりだもの」
「でも雪があって出かけるのコワイしおっくうで」
「家の中でももちろん運動はできますけどね、TV体操も見てるだけの人が多いし
うちにハムスターいますけど、すごいですよ彼らは。かごの中でも
一生懸命に走って運動してる。誰にも言われてないのにね。
休みたい欲があるとして、からだを動かしたい欲もあると思うんですけど |
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「こないだスピード違反で捕まっちまってさ、減点だよまったく腹立つなあ」
「それはご愁傷さま」
「あんなところでさあ、他の人だって結構飛ばしてるしさ
思い出すたんびにハラワタが煮えくり返るよ」
「いいこと教えようか。、ある事象があってそれに怒りを感じると、怒り物質なるものが生成されて
血液を通して全身に運ばれる」
「なんだそれ」
「面白いのは、その物質は90秒で消失するそうだ」
「オレはもう3日も経つのにこんなに怒ってるぞ」
「そこだよ。過去の記憶を思い出してそれをネタに怒りを繰り返し感じてるのさ
目の前にない、記憶や思考で感情的に反応するのは、人間だけにできる芸当だ
何回考えても結論が同じなら、もうそんな記憶解き放してしまえばいいってこと |
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老人ホームで回診中
「◯◯さん、こんにちは、お変わりないですか〜」
聴診器を当てていると「◯▲□X◆◎△・・・」
「んっ、今なんて言いました?」
「わだばしょんべんくせくてくせかまりだからいやだべせんせい」
「???」
すると付き添いのスタッフ「私はオシッコ臭いから先生嫌でしょう、ですって」
「ハハハ、全然気になりませんよ、だいじょうぶです、気にしないでね」
ある意味人間本来の天然自然の香りですからね(大◯はたまにキツイですけど)
外来でハデハデの香水プンプンの奥様のほうがよほど具合悪くなります、変態かな |
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「先生、まためまいがしてきました」
「どんなかんじですか?」
「こう、あたまがぶらーとするような」
「天井がグルグルではない?」
「んだす、そんたにひどぐはねえすな」
「まあ脳も耳も異常ないようだから、まず心配なものではないでしょう」
「んだすか?だいじょうぶだすか」
「うん、症状は確かにあるんだけど、それをこれくらいの大きさとすると
周りに心配という衣をつけて、恐れという油であげちゃってるから
すごく大きな”病気”という天ぷらになってるんですな」
「はあ?ー」
自分を含めた患者さんの人間観察から得たレシピです |
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「感心ですね、毎日三回きちっと血圧はかっていますね」
「はい」
「ただ不思議なんですけど」
「フシギ?」
「ええ、もうとっくに薬切れてますよね」
「ええ、時々のみ忘れてるんだと思うんですけど」
「のみ忘れても血圧だけは忘れずにきちんと測っている」
「・・・」
「理解できませんな、しいていえば、薬飲まないとどれだけ上がるかチェックしてるのか」
「(笑)」
パンツ下げないでトイレするのと同じくらい無理がないでしょうか |
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「はい、子宮頸癌ワクチンの三回目ですね。◯◯さん、ちょっと痛いですよー」
補助制度のためもあり、だいぶワクチンは定着してきました
でも、問診票を見ていて、気になるというか解せないところがあります
名前の横に「男 女」を丸するようになっているんです
百歩譲っても、女子中高生にそれはいらないだろ〜 |
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「今年は本当に雪が多くて、もうすぐ4月だっていうのにこんなに残って」
「そうですね」
「毎日雪かきでくたびれるし、なかなか春は来ませんねえ」
「でもなんだかんだいってだいぶ減ってるじゃないですか。十分の一かもよ」
「でも、泥が跳ねて土色になってきたないし、ゴミは出てくるし・・・」
どれだけの雪も、放っておいても必ず全部溶けてなくなりますよね、当地では
でもガレキはそのままでは何時までも消えてくれないんですよ、ここは我慢です |
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「この人いつもは◯◯病院にかかってて、昨年は貧血で入院して輸血もしたんです」
「はい」
「また最近食べられなくなって、頼まれたのでこちらに連れてきたんです」
「どうして◯◯病院に行かないんですか?」
「それはその、ちょっと遅いし、とりあえず見てもらおうと思って…」
「紹介状も薬もなくて、既往歴から検査結果までわからない。
ゼロから始める不利を考えたら、やはりかかりつけに行くのが早いでしょう」
「とりあえず点滴でもしてもらおうと思って」
「それはいいですけどね」
◯◯病院には紹介状がないと診てもらえない、医院にかかるときはなくてもいい
そんな理屈はないですよね・・・けど、結構ありがちな下請け関係かもね |
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「ここ以外でどこかお薬もらっていませんか?」
「ええ、あちこちかゆいので皮膚科に行ってお薬もらってますけど」
「なんという薬でしょう」
「さあねえ、お薬手帳も持って来なかったのでわかりません」
「皮膚科にかかるときにはあそこの内科でこういう薬をもらってますって
教えないといけませんよ」
「ええ、それは勿論お薬を持って行って全部見せましたから大丈夫です」
「じゃあ、どうしてこちらには教えなくていいと思うんですか?」
「。。。」 |
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「君はツイッターとかはやらないのかい?」
「やってないね全然」
「いろんな人や有名人のコメントがわかって結構面白いぜ」
「そうか」
「今時はそれで盛り上がってデモ行進すら始まる時代だからね」
「でもね、自分の心のおしゃべりにすら呆れて鎮めたいと思ってるのに
わざわざ他人のおしゃべりにまで耳を貸す気にはなれんけどな」
「心のおしゃべり?」
「そう、人は一日中、十数万以上の物事を考えてると
そして、その内の98%は昨日と同じ事だと言われている」
「マジで」
「自分の心の会話に耳を澄ませたらすごいぜ。ほとんどが無意味なつぶやきだ」
もっと自分のいま目の前のことに集中できたほうが楽しいしラクだと思うよ |
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「子供が今度卒業になって、両親へって手紙をくれたのさ」
「それはおめでとう」
「ありがとう。で『お父さんが働いてくれるおかげで
僕達は勉強したり暮らすことができます、ありがとう』だって」
「へー」
「そんとき、かみさんに厭味ったらしく恩着せがましいことを言ったのを思い出したんだ」
「えっ?」
「そういうやりとりを聞いてるんだよね、しっかり」
「まあな」
「逆に自分が情けなくなってさ、こう思ったよ
お前たちがいるからこそお父さんは一生懸命働けるのさ、ってね」「美談だ」 |
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「なにか不祥事や不手際があると、必ず『マニュアルを作成する、見直す』というだろ」
「そうだな」
「説教するとか気合を入れる、なんていえないから
とりあえずその場しのぎに言うんだろうけど、無縁社会の象徴だよな」
「そうだな、現場の人間をただの機械か道具としてしかみなしていない。自己判断したり
勘を働かせたり、アドリブで気をきかせて、なんてものを一切排除してるよな」
「ミスがあればマニュアル通りに対応したので非はないと責任逃れの口実にも使える」
「不要とは言わないけど、確実に社会を冷やしてるのは間違いないね」
「それが極に振れると、自然が”掟”で振り戻してくれる」
「それもすごいマニュアルだな」 |
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「ここのところ血圧が高くて、夜もはやくに目さめてしまってねむれないんですのよ」
「たしかに、ずいぶん高くなっていますね。なにかご無理なことしてるんじゃないですか」
「ええ・・・もう90にもなったので、身の回りの物を片付けたりしてるからかしらねえ」
「身軽になるのはいいですけど、それがストレスで心が重くなるのでは逆効果ですね
ものといっしょに、それにまとわりついたあれやこれやの雑念もきれいさっぱり
片付けられたら楽になるんでしょうけどね」
「はい・・・」
でも、じつはがれきや放射能と違って、心の中の荷物は消去できるんですけどね |
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「2012年の12月21日でマヤ暦が終わってると言うじゃないか。君はどう思う?」
「どう思うって、百年千年万年の単位で暦を作ったひとも、永遠には作れないだろう」
「そう来るか、人類が滅亡するって噂ももっぱらだぜ」
「してもいい潮時だけどね
っていうと元も子もないか。そのまま素直に考えればいいんじゃないか」
「素直に?」
「そう、まさに暦が要らなくなる。そこで人類が滅びるんじゃなくて、時間という概念が
消失する。要らなくなる。つまり、もともと時間なんて幻だったいうことに気がつく」
その意識の転換こそがいわゆるアセンションなのだというわけさ、楽しみじゃないか |
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「きみ、”無”って想像できるかい?」
「ムっ?できるよ、たぶん」
「どんなイメージだい」
「そうだな、こう真っ暗な宇宙空間みたいな・・」
「無、は何もないということだから、違うだろう」
「どうして」
「宇宙空間には微量でも元素がある、なにしろ”空間”があるじゃないか」
「空間もなしか、そしたら・・」
「犬、とか、赤、といわれれば相当する観念がある
でも、無、にはまさに相当するものは存在し得ない。だから、無、はありえない」
「そうかな、なんか騙されてるような気がするな」
「いままで、自分を騙してたのは君の方さ。これに気がつけば
”死んで無になる”も無いということが”わかる”
なにしろ”在る”が”無い”には成り得ないということがわかれば、もう恐れるものはない |
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朝一番の患者さん「せんせい、背中がかゆいんですけど」
(何も出てませんね、かいてください)
三番目の患者さん「時々咳き込むんですが、喘息とか結核じゃないでしょうか」
(検査はしますが、おそらく違います)
5番目の患者さん「なんだかつばが多く出て、しょっぱいんですけど」
(飲むか出すかしてください)
おいおい、みなさんいい加減、目を覚ましましょうよ! |
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「本県では胃がん検診に無料クーポンを配布することになり
これで検診率が上昇することが期待されています」
「他の健診はナシですよね。
いっそタバコの箱にベルマークみたいな特典マークをつけたらいいんじゃないかな」
「特典?」
「うん。それを100枚集めると肺がん検診を無料で受けることができる。
ハイリスクグループが受診するようになって、一石二鳥じゃない」
「健診受けたくていっぱいタバコ吸ったら本末転倒ですよ」
「健診のほうが安いんだからそれはないでしょ」
「う〜ん、なんかおかしい」
タバコを政府が売って税収にしてる事自体が、もうおかしいんだもの |
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「君はまだタバコを吸うようだけど、煙草の害なんて話は聞きあきただろう」
「まあね」
「君がタバコにどれだけ人生のエネルギーを吸い取られてるかわかるかい?」
「吸い取られる?」
「君はタバコをくわえて火をつけ、ふかす。いつも吸える場所を探す。
肩身の狭い思いで人に言い訳する。癌にならないか心配する。吸えないとイライラして
タバコの事ばかり考えて集中できない。タバコ代で小遣いが減ると気が滅入る。
また時々禁煙にトライして失敗しては自己嫌悪に陥る。などなど、どうかね?」
「たしかに、そういうところはあるけどな」
「ただの嗜好品なんて言えないだろう
吸わなければ今のこととは一切縁がなくて、人生をエンジョイできるんだぜ! |
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「こうやって夜空を見上げてアンドロメダ大星雲を見つけるとしたら
1センチ四方くらいの小さな視野の中を、天体望遠鏡で拡大することになるよね」
「まあ、そうだね」「今度は、目の前にある1センチ四方の角砂糖のなかの
炭素原子を見ようとしたら、電子顕微鏡で拡大することになる」「見えないけどな」
「これは、全く逆の作業に見えて、実は同じ事をしていることに気が付かないか?」
「えっ、それはないだろう。だって星雲の大きさと炭素原子の大きさがどんだけちがうか」
「本当に違うんだろうか。
マクロコスモスとミクロコスモスは、じつは全く等価だということさ」「まさか」 |
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「巷には相変わらずいろんなダイエット法が流行ってるね」
「うん、テレビに本にネット、ダイエットという言葉を聞かない日はないくらいだ」
「でも、どうしてうまく痩せる人が少ないのか知ってる?」
「そりゃあしんどくて長続きしないとか、嘘八百の内容だとか、いろいろだろう」
「医者が証明しましたとか、とても簡単に続けられます、というのもあるぜ」
「そうだなあ」
「ダイエットを商売にしている人は、お客を減らす訳にはいかない
だから、成功したらお客が減るじゃないか」
「でも成功しないなら流行らないだろう」
「流行ってないよ、実際。はやってます、というデマはいっぱい流してるけどね」
「痩せたらシアワセ」と思うからダイエットに挑む。だったら「今このままでシアワセ」
になってしまえばダイエットで悩む必要もなくなる。それが究極の脱ダイエット法です |
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「最近物忘れがひどくて、ばたばた、あわただしくしてます」
「そうですか、でも忘れたことに気づいてるなら、まだいいほうですね」
「そうですか、きょうも慌ててきたから血圧上がってるでしょう」
「どうして慌てるんですか?なにか用事があるんですか?」
「いえ別に」
「じゃあ、午後ゆっくり来てもいいわけでしょう?」
「そうですね」
「急がなくちゃ」「人によく見られなくちゃ」「忘れたら大変」そんなもろもろの
自分を縛ってる約束事を、先に忘れられたらハッピーなんですけどね |
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「おばあちゃん、夜中熱はかったら37.5度あって、なんだかめまいがするって」
「いまは熱ないですね。風邪の症状とかはありますか?」
「特にないみたいです」
「ひょっとして電気毛布使ってます?」
「はい」
「もしかしてそのせいかもね」
「えっ」
「この時期寒いので電気毛布を最強にして寝てるお年寄りが多いんです。
こないだも39度まで上がった人がいました。脱水になるし、肌は痒くなるし
喉もイガイが、いいことないです。寝入りばなだけつけて切るのがいいんです
夜中は少し体温が下がるくらいが、人間の自然なリズムなんですからね |
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「なんだか急に疲れて歩くのがしんどくなったんです」
そういって来たのは90歳になるおばあちゃん。マゴさんがついてきています。
一人暮らしで全部自分ですると。よくよくお話を聞いていくと、ここ一ヶ月以上
あちこちから子供や孫が集まって一緒にいるようです
「一人でのんびりしてたのが、いろいろ家事もして、気苦労が増えたんでしょう」
「何か病気じゃないでしょうか」
「まあ調べます、けど、この年になったら何かは見つかるでしょうね」
「よろしくおねがいします」
でもね、一人で歩いてきて普通にお話が出来る時点で、もう超のつくエリートですよ
老人ホームで60,70歳で寝たきりの人をたくさん見ている私に言わせればね |
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「この子、昨日の午後熱が出て、病院に行ってみてもらったんです
インフルエンザの検査は陰性だったんですが、学校の方から”きちんと”
検査をするように言われたもので・・」
「薬はもらったんですね」
「ええ」
「じゃあ、もう一度検査だけすればいいというわけですね(医者の裁量はないなあ)」
十代だし、元気そうだから陽性でも治療方針に変更はないわけですから
それに、もし間違って陰性でも親御さんが責められる筋のものでは無いですよ
『陰性と言われました』でいいんです。じゃあ、調べますかね」
「アイタタ!」
統計とるのは勝手ですが、お金払うのも痛い思いするのも本人なわけで
いい加減、検査だ、治療薬だ、報告だ、騒ぐのはいち抜けたいですね
「名前の付いたカゼ」なんだし雪と同じでじきに消えるのはわかってるんですから |
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「テストの珍回答」という本があり、結構面白くて売れているようです
試験中に考えあぐねて、苦し紛れに、あるいはまじめに勘違いして
とんでもない答えを書く、小学生から高校生まで・・・笑えます
問診票の「既往歴」のところに、こんな珍回答を見つけました
「食中毒、ピンキロバクターによる」
正解はキャンピロバクターですが、指摘するのも野暮なので笑いをこらえてました |
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「ここ一ヶ月くらい、ズーと下痢気味なんですよ」
「長いですね、なにか変わったもの食べてませんか?」
「いいえ、でもラーメン食べると下痢しやすいかな」
「だったら控えればいいですね。あと、牛乳もね」
「牛乳は飲むと一発で下痢するので、飲んでません。ヨーグルトは食べるけど」
「ヨーグルトも控えたほうがいいんじゃないですか?」
「そうか、ここ一ヶ月毎日2個ずつ食べてるんです」
「えっ、そんなに好きなんですか?」
「いや体にいいと思ってね」
「・・・」
子供にインフルエンザを予防するといってヨーグルトを食べさせて
下痢してスキー大会で不調だったというお話もありました、なんでだろう〜 |
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「こないだ転んで腰痛めて、整形外科に行ったんだす」
「そうですか」
「はい、いろいろ検査してもらったす」
「じゃあ、痛み止めはもらってるのかな?」
「いや、もらってねえす」
「薬は出てないの?」
「いいえ、でてらすよ、ほら、あの青くて丸っこいのひとつもらってらす」
「あのねえ、世の中に薬がどんだけあると思ってるんですか!?お薬手帳とか、処方箋はないのかな」
「ねえすな」
「なんのクスリだって言われました?」
「さあねえ・・・」
それだけおまかせで生きられるのも、ある意味すごいですけどね |
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「うちの父さん、最近車をぶつけてから自信をなくして運転辞めるって
足腰も弱ってるから散歩もしないし、家にこもって寝てばかりになって」
「そうですか、ちょっと出かけるにも車を使うから、都会より田舎のほうが
足腰の弱い人が多いといいますからね。まずは家の周りから初めて
徐々に距離を伸ばすのがいいでしょうね」
「でもやるかしら?付き合いもないしなんかいいっても聞かないし」
「お二人で歩けばいいじゃないですか」
「え〜まさか」
「ご夫婦で歩いてる方、結構見かけますよ。先ず隗より始めよ」
硬くなったカラダと人間関係をほぐすいいチャンスです! |
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「ここんところ無理して仕事すると、脈が乱れるんだすよ、ふだんは
なんともねえんだばって、なんでだべ、せんせい」
「もう自分で答えてるじゃないですか。”無理すると”って。
ムリということは、カラダにはしんどい辛いことを強いて行う、ということです。
その時は熱中してるから気が付かないけど、もう歳だから
夜や次の日になって具合が悪くなるんです、それで、なんでだべ、となる」
「んだすが」
「無理しないでね」という口癖以外アドバイスのしようがない |
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「こないだ後ろの車にべったり張り付かれてあおられてさ
すごく嫌な思いをしたよ」
「そうか、ぼくはないけどね」
「マジで?」
「うん。<後に車が付かれると嫌に感じるタイプ>と
<前に車がいるとイラつくタイプ>が遭遇したわけだ。どうすればいい?」
「・・・そりゃ譲ってあげればいいんだろうけど、なんでオレが折れるのさ」
「自分の平和のため、覆面パトカーか救急車だと思えばいいのさ」
「そんなバカな」
「競わない・比べない・争わない」みんなそうすれば交通事故は半減するね
(き・く・あ は小林正観さんの著作から、ご冥福をお祈りします) |
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「血糖値が上がってますね、食事には注意してるんですよね?」
「いえ、実は最近多めに食べるようにしてるんです」
「えっ、あえて多くですか」
「はい、人に『おまえやせたんじゃないか、大丈夫か』って言われるもんで」
「そんなこと気にしちゃいけないですね、ひとそれぞれベスト体重、体型があるので
食欲に正直に従って食べ過ぎなければ一番いいところに落ち着くもんですよ」
「でも、もうちょっと太りたいなと思うんもんでつい」
「人は責任とってくれないけどね、じゃあわかりました、多めに食べるんだったら、そのぶん筋トレ、ウオーキングして
”マッチョに”体重増やしてください、じゃないと脂肪だけ増えますからね」
「はあ」
痩せ気味の高齢の女性も太りたいという人が結構多いんですよね |
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「今年は大型台風の被害がすごいね」
「うん、東西南北、日本列島を、舐めるようにゆっくり通過するタイプが多かったね」
「津波に大雨に原発事故、ホント、泣き面に蜂どころじゃないよな」
「確かにね、でも被害にあった方には申し訳ないけど、これほど強力な除染もないかもね」
「ジョセン?」
「雨が草木、土表面、建物についた放射性物質を海に洗い流す」
「なるほど」
「この作業を人力でやったと考えればすごいことになるだろう」
ここに深遠なる自然の経綸を感じることもできるような気がするんだ |
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医者仲間での会話「こないだ危うく見逃すところだったんだけど
いつも訴えが多くて細かい人がいてね、どうもおかしいから検査してって
目立った所見はないんだけど、じゃあ念のためって検査したら」
「うん」
「脳に小さな腫瘍が見つかったのさ、いやーびっくりしたね」
「油断大敵だね」
「きっと、初心忘るべからずって、神様のドッキリなんじゃないかな?」
「いえてる」 |
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「糖が上がってますけど、食べるものは変わっていませんか?」
「じつは先生、告白しなければならないことがあります」
「えっ!?」
「夏のあいだ、暑くて食欲が無いんで、仕方なくご飯に・・・」
「なんですか」
「スジコを載せて食べてしまいました」
「・・・筋子ですか。ていうか、、あんまり食べられなかったんでしょう。それが影響するとは思えないけど」
意外と毎日お仏壇のお供えを頂いてたりするんですよね、でも言わない |
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「どうされました」
「かぜひいたわけじゃないのになんだかダルくて
やる気もでないしすぐ横になりたくなってしまうんですよ」
「いつからですか」
「そうね、ここ1週間くらいかしら」
「一応検査はしてみますけど、たぶんこの時期に多い、たそがれ症候群じゃないかな」
「たそがれショウコウグン?」
「お盆が過ぎて夏休みも終わり、子供孫たちがいなくなる。
気持ちのハリがなくなって夏の疲れがどっと押し寄せる。秋風が吹いて
なんだか寂しくなってみょうに今度は先行きの心配が心をよぎる・・・」
「いわれれば確かにそんなかんじもありますけど」
治す薬はおそらく『時間』でしょうか、処方できませんけどね |
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「せんせい痔が痛くて市販のぬりぐすりつけてらんだすばって
腫れてきて歩いても痛いんだすよ」
「そうですか、じゃあまず注入する軟膏を出しますから、
それでひどいときは座薬を使ってみましょう
それでも良くならないときはさすがに外科に行かないとね」
「おっかねえす」
「おっかない?」
「どこの外科に行ったらいいかわがらねえし、どうすべ」
「その時は教えますから、もちろん、今から心配しないで」
「それに入れ歯が合わなくて痛いんだすよ、どうすべ」
「それは歯医者だなあ」
「ねむれねえからまたいつもの睡眠薬もください、いやー、どうすべどうすべ」
さきのことばっかり考えて答えのでない迷路に入ってるから眠れない
今、目の前のことに淡々と対処する、「嘆き節」だけは余計なんです |
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「今日も糖尿の検査していきますか?」
「いやあ、それがねお盆でお客さんが来て普段飲まないお酒をのんだりしたから・・・」
「だったらなおさら調べたほうがいいですね。べつにここは学校でも
裁判所でもなく、ただの病院ですから」
「はあ」
「いいわるいとかだらしないとか、罰金とろうということじゃないんです。いってみれば
鏡ですね。自分の姿を写して、髪が乱れてるとか、鼻くそが付いてるとか
気がついて治すためにあるんです」
僕もいい鏡になるために綺麗に磨いておかなくちゃ! |
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「せんせい、わたし足がむくんでるんですけど大丈夫でしょうか?」
「どれどれ、そうですね、少し浮腫んでますね。でも、前からでしょう?」
「そうですね、朝はいいんですけど夕方になるとひどくなってきて」
「血圧が高いのとおしっこに蛋白が少し出るから浮腫みやすいんだな
しょっぱいものを減らして、寝るときは少し足を高くして寝ればいいですよ」
「心配ないですか」「これくらいならひどくないですよ。老人ホームにいけば
みなさんこんなかんじの足をしてらっしゃいますから。顔にはシワが出来る
あしは腫れてくる、そんなもんでしょう、気にしなくて大丈夫」「はあ」
みなさん温泉に行ってお互いのからだを見比べれば安心するでしょうけど |
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「今日は市の健診のついでに、胃カメラもお願いします。
胸のレントゲンと大腸がん検診はやってるので大丈夫です」
「はあ、そうですか、もちろん結構ですよ」
「最近なんだかノドがゼーゼーして、タバコ吸うからかなあと思うんだけど」
「この際だから言いますけどね、胃ガン、肺ガン、大腸ガンが心配で
毎年健診受けてるようですけど、それでもタバコやめないのは
おかしくないですか?ほんとにコワイのならまず禁煙でしょう!」
「わかっちゃいるけど・・・」でなく「わかってないからやめられない」 |
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田舎ナマリ?でいまだによく分からない言葉があります
「じゃあ、胃が痛いんですか?」
「いや、病めるわげではないんだすばって、なんだが具合悪くて」というこの
「病める」のニュアンス、ビミョーです
「胃の方はどうですか?」
「はい、やめないのでやめました」
「はっ??」
「調子がいいので、胃薬飲むのやめました」
「なるほど、病めないので(クスリ)止めました、ということね、うまいこといいますね」
「・・・」
(なんだ、天然か、でもメモしとこうっと)
非常にしんどくて具合が悪い状態には間違いないようです |
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「ついにこばなしも500題達成だね」
「ありがとう(まさに自画自賛だけど)
これも、キミのようないい相方がいるおかげだよ」
「そうかね」
「ウソだよ」
「でも、内容はともかく(失礼)よく続くもんだね」
「そうだな、どっちかというと僕は長い文章とか、くどい説教とか、したり顔の解説とか、苦手なんだな
(時々やるけど)このくらいのコントのほうが、余韻が出るし、気軽だし」
「詩集も好きだもんね」
「詩みたいなもんだな、たしかに。そのうち出版するかも」
どなたか出版関係の方、気に入ったらご連絡お待ちしております(マジ) |
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「からだがだるくてめまいがするし、食欲がなくてしんどいんですよ」
「うーんそのかんじだと熱中症でしょう、家も暑いんだろうし」
「ええすごく」
「スーパーでも公民館でもいいから涼しいところに行ってくださいね
塩を耳かき一匙ほど入れた常温水をこまめにのんで、あとは首タオルだな」
「首タオルですか」
「そう、こうやって冷水で濡らした手ぬぐいを首に巻くんです
くびは太い動脈があるから効率的に冷える、蒸散で顔も涼しい、それに・・・・」
「でも、ちょっとオヤジ臭いですよね」
「見た目を気にしてどうするんです
(あなただって熱中症でしなびてスルメみたいになってるのに、失礼)」
野外仕事で頑張ってきたオヤジ達の知恵なのです! |
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「もうクスリがないころだけど大丈夫?」
「ええ、じつは今朝飲むのがなくて」
「ほら血圧上がってるじゃないですか。もうすぐお盆休みですよ。
クスリ取りに来て、『あっお休みだ』じゃアブナイでしょう。それにうちの医院も
いつなんどきなくなるかもしれない。地震で潰れたり、経営破綻したり(笑えない)」
「はあ」
「だから薬がなくなる1週間くらい前に来て、その分備蓄しておくんですよ」
「わかりました」
でも、この手の患者さんは多く出しても結局切れてから来るのでした、トホホ |
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顔色の冴えないFさん、コーヒーと煙草にまみれてるのがすぐわかる
「どうしました包帯して」
「いや、こないだ足がもつれて転んでしまって
腕の骨にひびが入ったんですよ」
「それは大変でしたね、どうしたんでしょう」
「まあ運動不足でからだがなまってるんですな」
「冷静ですね、まだ60代ですよ。
はっきりいってこれから丈夫になるわけはなくて足腰が弱っていくんですから、
休み時間喫茶店で珈琲と煙草に浸ってないで、一念発起して体を鍛えましょう!」
「速く歩ける人ほど寿命が長い」というデータは、けだし正しいと感じますね |
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「血圧が高いですけど、今までの健診では言われてましたか?」
「ええ、毎年高いって言われてます」
「えっ、で、そのままなんですか」
「はあ、なんにも具合は悪くないし」
「もしこのくらいの血圧で具合が悪くなるんなら、病院はもっと患者さんでごった返してますよっ!」
「・・・」
「じゃあ、検診の結果がきたら昔のと一緒に持ってきてください」
「いや、むかしのだばもうなげでねえすよ(捨ててしまってありません)」
「・・・じゃあ、いったいなんのために健診受けてるんですか?」
宝くじを買って、結果も見ないで捨ててるのと一緒なんですけど |
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「きみんとこは節電対策はしてるかね」
「もちろん、自動ドアに蛍光灯、テレビ、パソコンとか消しちゃったしね」
「テレビもか、エコなTVとかあるし節電法、節電グッズなんか紹介してるけどなあ」
「節電をすすめる番組をボーと見てるくらいなら、そのテレビを消してしまえばいいじゃないか」
「地デジ化をいいきっかけに、テレビをやめるところが増えるかもね」
「そしていろんな家電同様、なくても困らない、むしろスッキリするのさ」
「原発の安全な利用法」も「安全な火事のおこし方」同様こっけいですネ |
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「お久しぶりですね、相変わらずお元気そうで何より」
「こんにちは、先生のお薬のおかげでこうして生きてます」
「そんなことないですよ
大正生まれの女性は頑丈に出来てるんですから、さすがです」
「なかなかお迎えが来なくて困ってらす」
「ははは、あの世も今はかなり混み合ってるようで、もうしばらく待たされるようですよ」
「んだすか」
「それよりこの世を楽しみましょうよ」
「楽しんでらすよ」
「それはよかった」
90過ぎの割に頭のしっかりした方から聞くセリフですね |
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「今お使いいただいている薬で、ある種のがんの発生が多いという報告が
海外でされたんです」「知ってるよ、ちょっと使うのは控えようと思うけど」
「ですが、この報告では10万人に6人のがんが8人に増えたという程度でして
またこの種のガンは日本では欧米に比べて少ないんですよ」「そうやって
たいしたことないと言いたいんだろうけど、ちょっとおかしいじゃないか」「?」
「クスリの効能をいうときは同じ数字でも25%も減らしたんですというとこだろ
おまけに心臓病は欧米に比して日本は少ないときたもんだ」「そういわれれば」
「詭弁なんだよ、そんなリスクを負ってまで飲むほどの薬じゃないと思うよ」
統計はいくらでもいじることが出来る、それがわかったのが勉強の成果ですかね |
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「ご夫婦揃ってお久しぶりですね」「年に一回のいろいろ検査をしてもらおうと思って
この人は耳が遠いから私がついてます」「旦那さん、いままで毎年胃の透視だけど
今日は胃カメラをやりませんか?やったことないでしょう」「はあ、ツライってきくから」
「ニュースで言うとおり透視は結構被爆する上に、カメラに比べれば情報が少ないし」
「じゃあやってみます」「えーと、奥さんも同じ検査でいいんですよね」「いえ
私は胃は透視の方でお願いします」「・・・あのう、今の私の話、聞いてました?!」
結局、割に楽だったという旦那さんに宣伝してもらって奥様も胃カメラになりましたが |
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「考えてみたら、日本ほど放射線にさらされて来た国はないよな」「どうして?」
「まず、世界初の2発の核爆弾のときも放射性物質が日本中に拡散したはずで」
「相当なものだろうな」「現在にいたっても、毎年のレントゲン健診に、胃ガン検診
さらには脳ドックと称してCTまで受けている」「世界一の保有台数だもんな」
「レントゲンやCTに比べれば微量です、って言い方は逆に相当な被爆だって
ようやく気づいたんだろうけど」「おまえが言うな。でも、ふしぎだね
それでいながら世界一の長寿を誇ってるんだからね |
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「ライフラインが全部ストップすると、まるで原始時代に逆戻りだな」
「ここみたいな田舎はそう言えるけど、都会は違うよ」「どうして?」
「ここだったら近くに森があり湧き水を汲めたりもする、農業もできる
けど、東京のライフラインが止まったら、そこはただのコンクリートジャングル
僅かな食料のストックがあるだけさ」「そういわれればそうだな」
「気づいた人はもう田舎に移りはじめてると思うけどね」
「このまちには何もない」と言ってた人もようやく気がつくのさ |
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「Jキャメロン監督の映画、<アバター>は観たんだろう」「うん
あのあばたの顔したやつだろう」「違うよ、アバターだってば」
「ああ、えらく顔色の悪い宇宙人が出てくるやつだろう?」「違うぞ
ああいう肌の色なんだってば」「ジョークだよ」「めんどくさいヤツだな
で、どう思う?」「どうって、あれは全部今の地球のことだろう
地球を汚して壊して住めなくしてるのも人類なら、それを救えるのも人類
分岐点の我々に自然の一員として生きる道を示してるんじゃないのか」
なーんだ、ちゃんとみてるんじゃないか |
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「家で測った血圧もちょっと高めですね」「そうなんですよ(川崎さん)
大丈夫でしょうか?」「血圧も放射線と同じですね」「はっ?」
「<基準値内なので直ちに体に影響があるわけではありません>
っていうでしょ。逆に言えば、<長期的には体に悪い>ということです
値だけじゃなくて、それにさらされている時間との掛け算なんです」
すぐには症状もなくて、測らないと気づかない、似てますねホント |
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「今回はコレステロールの数字が上がりましたよ」「あらやだ
やっぱりケーキとビールを減らさないといけないかしら」「え”〜」
「やめたほうがいいですよね」「やめられるんですか?そんな簡単に
あと、水虫の塗り薬ずっと持って行ってますが、治らないんですか」
「ええ、そっちも飲みぐすりでなおしたほうがいいかしら」「まさか
コレステロールほっておいて、水虫なおしてもしょうがないでしょう! |
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「放射線は眼に見えないから厄介だよな、どう対策したらいいのかなあ」
「外部被ばくに関しては、露出を避けてマスクして、ホコリを家に入れない
まあ花粉症対策と同様だよ」「そんなんでいいのか?じゃあ食べ物は?」
「内部被曝の予防にはあらかじめヨウ素なんかを多めに取ることだね」
「例のヨウ素剤か」「それは手に入りづらいしきちんとしないと過量になる
食品で昆布やワカメなんかを大豆製品と一緒に取るのがおすすめだね」
「それはデマだって言ってたぜ」「よく調べれば文献も使用経験もあるのさ」
「じゃあ昆布でだしを取った豆腐とワカメの味噌汁なんかいいな」「まさに」
日本人はずっと昔から伝承されてきた先人の知恵で守られてきたんだもの |
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「観光地にはもう外国人がほとんど来ないんだってね」「それは無理もないね」
「とっとと外国に脱出する人も多いようだし」「不純な動機のひとは居なくなるね」
「東京から地方へ移る人も増えるんだろうね」「うちみたいな田舎には朗報だろう」
「日本の食物は海外で売れなくなるし、まるで鎖国時代に逆戻りだ」
「ネットの時代にそれはないだろう。モノは別にして心では世界はひとつになる」
「日本はこれからどうなっていくんだろう・・・」

本当に国を愛する人、命運を共に出来るひとだけのすごい国になるのさ |
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「いま納豆やヨーグルトが品薄でスーパーでもすぐなくなっちまうんだよね」
「別にどっちもなくても困らないけど」「いや、オレはいいけどうちの子がさ
ナットウをくうまでは納得(なっとうく)しないほど大好きでさあ」「そうか」
「(笑うとこだけど)でも秋田音頭に桧山納豆というくらいだから地元産の
モノがありそうなものだけどね」「昔は作ってたんだろうけど、大手に押されて
中小はみんなやめてしまったというところかな」「やはりそうか」「でもね
一極集中のまずさ、危うさに気づかせてもらったんだから、これからは

いよいよ地方の小さなコミュニティの復権じゃないか!あれっ、どこ行くんだ |
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町内会の会合で「勝手にゴミを出す人がいる」「役所はなにもしてくれない」
「役員は何かしているのか」と文句を並べるおばさん
スーパーで「この銘柄の牛乳がないと困る」「いつ入荷するのか」
とレジの若い子に不平を垂れるおじさん
震災で被災して生きるか死ぬかの状況にある人々のことを思えば
自分たちの「悩み」がいかにちっぽけで、贅沢なものかわかるのに
「TVずっとみて泣くばかりで、自分にはなんにもできないから」というひと
すくなくともこれだけはできることがある

一見なにもない日常がどれほど有り難い奇跡であるかに気づいて感謝すること |
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「このボテッとしたお腹まわりさあ、なんとかならんかね」「今度は腹か」
「うん、腹筋や例の電気でビリビリってやつもやってみたんだけどね
なかなか面倒で続かないんだなあ」「君も相当道具から入るくちだね
僕もずっとやってる方法があるんだ。24時間いつでもどこでもできて
しかも道具も何もいらないけど、効果は確実だ」「そんな方法があるのか」
「うん、脱衣所で若者の腹筋を見てお腹を引っ込める中年男のCMあるだろ
あれだよ」「えっ」「気がつくたびにお腹を引っ込める習慣をつけるのさ」
「それだけ?見た目引っ込むだけじゃないか」「それがちがうんだ
ドローイングといって、確立されたメソッドなんだよ。始めて1週間で
ベルトの穴ひとつくらいすぐ引っ込んだよ」

引っ込められないレベルの人にはさすがにムリな方法ですが・・・ |
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「ボクさあ、顔がでかくてなかなか痩せないんだよね」「かおが?」
「うん、CMでやってるコロコロ転がすのもやってみたんだけどさあ」
「あれは女性がやるものだろうよ」「男でもいいじゃないか」「まあね」
「何かいい方法はないかなあ」「そうだなあ、ダイエットしても
頬がこけるのは最後だって言うもんな」「でも一番見られるところだろう」
「わかった。顔の、ほっぺたの筋肉を鍛えればいいんだよ」「どうやって」
「ほら、こうやって口を横に引いて、えくぼができるくらいに力をいれる
要は、一日中笑顔でいればいいってわけさ、細くなくても好印象だしネ |
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「先生、すいません今日、血圧手帳持ってくるの忘れてしまって」
「そうですか、こないだ血圧のクスリ変えたから必ずっていったのにね」
「ホントにすいません」「まあそういう時に限って忘れがちなんだけどね・・
そうだ、今度から血圧つけてきた人にはこのハンコをあげることにしたんです
で、10個たまるとなんと一ヶ月分のクスリを余分に差し上げます!」
「ホントですか?」
ってやってみたらいいのかもね!」(がくっ) |
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「当社が40年以上発売してきた◯ーゼンという薬ですが
この度、効果が認められなかったということで販売中止になりました」
「ああ、知ってるよ」「先生には大変ご迷惑をおかけしてしまい・・・」
「いや、ボクは逆にいいニュースだと思ったけどね」「いいニュース?」
「うん、自ら検証したのはいいことだし、それでいらない薬がひとつ減った
この手の薬剤で一年間に60億以上も儲けていたことも暴露されたしね」
「・・・」「ただ、なんら弁償しないこと、他会社にはいい迷惑なことなんかは
いまいちだけどね、君のところは最大手だからびくともしないんだろうね」
民間薬やサプリも同じことをしたら、よっぽどスッキリするんだけどなあ |
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「最近、凶悪犯罪が多くてコワイですね」「そうですかねえ」
「新聞には毎日、殺人、強盗、誘拐に交通事故、地震に洪水・・・」
「ちなみにあなたのまわりでそういうことがあったんですか?」
「えーと、そういえば何年か前にご近所に泥棒が入りましたわ」
「ほら、そんなものでしょう。実際以上に恐怖や不安を煽ってる
そして、他人は信用ならんと警報機に監視カメラ、見まわり隊だ
保険の上に保険を重ねて、それで安心するわけでもない」
だからボクはもっぱら地元紙だけで新聞はもう読んでませんよ |
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「おばあちゃん、今度はじめてショートステイっていうのに行ったんです」
「ほうそうですか」「そしたらなぜか便秘になったので、下剤をくださいって」
「うーん、逆にあちこち歩きまわらないからかなあ?」「そうかもしれません」
「あと、施設にいると便が何回、尿が何回、って急に数え始めるからね」
「マイペースでのんびりだったのから集団行動になりますからね」
下剤にシップ、そして睡眠薬、これがお年寄りの標準装備なのです |
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「私は耳が遠くて相手に悪いからあんまり喋らないようにしてます」
「でも今みたいにクスリの飲み方とか、ひとりで悩んでないで
はっきり聞いたほうがいいですよ、意外と誤解してるもんですから」
「そうですね、そうします。でも今日の先生の声、すごく良く聞こえます」
「そうですか、それはよかった
(って、それは、ボクがずーっと叫んでるからなんですけどね、ふーっ) |
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「足がけくてけくて(カユくて痒くて)しょうがねんだす、ほら」
「カサカサですもんね。かきむしって血までにじんでるじゃないですか」
「どうすべ」「電気毛布にくるまって寝てるでしょう?」「んだ、寒いがら」
「夜中じゅう強くして寝てると、電子レンジに入ってるようなもので
カラカラに干からびちゃいますよ、静電気もすごいし。弱めに、
寝入りばなだけにしてね。あと、石けんでゴシゴシするでしょう」
「んだ、けがらな」「そうやって皮膚の大事な脂や常在菌を落とすのもよくない」
「んだすか?」「一応、お肌しっとりするクリームを出しておきますけどね」
塩分多いのに水も飲まない干物状態の方を水で戻したい衝動に駆られます! |
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474.What a Wonderfull World |
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「このまちにはさあ、なんにもないから、ホントつまんないよなあ」
「そうか?よく『人には見たいものしか見えない』『現実は自分の鏡』
っていうだろう。自分にはなにもない、認識が浅い、って公言してるだけで
みっともないからそんなセリフやめたほうがいいぜ」「そうかなあ」
「それにもう不惑の歳を越えてるんだから、人のせいにするのは卒業だ」
「ずいぶん手厳しいじゃないか。じゃあここには何があるっていうんだい?」
「ここにはすべてがある、完全、完璧」にきまってるじゃないか |
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「いやーえらい目にあったよ、電信柱のカラスがフンを落としやがって
あやうく頭に落ちるところだった」「フン害ねえ、それで憤慨してるわけか」
「おいおい、笑えないぞ、カラスはどんどん増えるし、ゴミを散らかす
そこらじゅうフンだらけにするしよ」「そういうこともあるけど、おおげさだよ」
「おまえは気にならないのか?」「ないね、カラスはエサを探して食べて、
ウンチをしてるだけで、人が勝手に迷惑にしてるだけだろう、それに、
カラスを見たらいいシルシということにしてるから、逆にワクワクするけど」
「おまえもカラスみたいにむかつく野郎だなあ」
ほら、怒る対象は別にカラスじゃなくてもいいんじゃないか |
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「こんど総合病院の内科でCTを検査するって言われました」
「えーっと、そうか胃の大きなポリープを取ってもらって、その後も
通ってるんでしたね。でも、どうしてCTとるか聞きましたか?」
「いえ、なんにも」「そうですか、みなさん従順ですよね・・・」
「胃の方は大丈夫だって言われたんですけどね」「例えばね
(ほらきた)今度お宅の家宅捜索をさせてもらいますよ、って言われて
<はい、どうぞいいですよ>とは言わないでしょう。どうして
何のために捜査するんですか、となるとおもうんだけどなあ」
ある意味、最高最大の個人情報ですけどね! |
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「こないだ骨密度検査というのをしてもらったんですよ」「ええ」
「そしたら、ほねが年齢より年取ってる、コツソショウショウだって」
「そうでしょうなあ」「それで骨を丈夫にするクスリを勧められて」
「そうなるでしょうね」「どうしたもんでしょう」「痛みとかは」「ないです」
「骨を丈夫に、というとちょっと語弊があるかもね。皇潤じゃあるまいし
骨が薄くなるのを抑える、という効能です。運動して陽に当たって
小魚、青菜なんかをしっかりとれば、それに勝るものもないと思うけどね」
そのうち皮膚科で「顔のシワも病気です」って言い出すんじゃないかなあ
(もう言ってるか) |
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「いやー、また朝から動悸がして、おまけにおしっこが近くて」
「どうしたんですか、何かあったんですか?」「いや、ちょっと
心配事があって・・・」「またですか、大変ですね。脈は乱れてないし
そこそこだから、少し落ち着く注射して休んでいってください」「はい」
3日後
「今日は血糖検査に来ました」「その後動悸や尿はどうなんですか?」
「はあ、そっちの方はもうなんともないです」と晴れやかな顔です
「じゃあ三日前の自分に伝えてあげてください
必ず平和な明日が来る、心配事もみんな過ぎていくから大丈夫、ってね |
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「ニセモノの医者の映画があったけど、なんでバレないんだろうね」
「うん、彼はクスリや病気の知識がない、バレないためにはどうするか
話術巧みに誠意をたっぷり示して患者さんに接するだろう、それで
患者さんも安心・満足を得る、うまくすれば病気も治ってしまうんだろうね」
「してみると、君はどちらも下手だから、きっと本物なんだろうな」
「あのなあ、そんな事いったら、そもそも本物とニセモノとはなにか・・」
「おっと、その手の哲学談義はもうけっこう」 |
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「きみのカラダの境界線はどこからだい?」「キョウカイセン?」
「たとえば水を飲むとする、口の中に入ったら自分か?胃壁から
吸収されたら自分になるのか?」「そりゃそうだろう」「じゃあ小便は?
体の外に出たらもう自分じゃない?膀胱の中か?腎臓は?」「・・」
「皮膚はどうだ。垢になったら自分じゃないのか?」「・・そうかな」
「原子レベルでどうだ、皮膚と大気の境界はどうなってるんだ?」
’自分’はこのからだ?脳?それとも・・・じつに曖昧だってことさ |
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「3Dが流行ってるけどさあ、君が見ている’景色’は2次元だって
気づいてた?」「何いってんだよ、3次元さ。縦横高さ、奥行きもある、
立体に見えてるぜ」「じゃあ今の視界をデジカメで撮って
実物大にしたのを目の前においたら、区別できるか?」「もちろん」
「さわるのはナシだぜ」「右目と左目で少しずれた画像を見てるから
立体に見えるんだろう」「それじゃあ3Dメガネと同じしくみじゃないか。
脳の中で処理して思い込んでるだけさ」「目からモノまでのこの距離だ
これをどうする?」「視線は’線’と言いながら、その実、点なんだよ」
えっ、ところで、なんでこばなしが哲学問答になってるんだ!? |
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「君は後ろを見れるかい?」「もちろんさ(振り返って)ほらね」
「そうやってさっきまで後ろだった風景を’前に’見てるじゃないか」
「えっ、じゃあこうやって鏡を使えば簡単じゃないか」「見てごらん
やっぱり君は君の’前に’ある鏡を見ている」「チクショー
じゃあこうやって目をつぶっちゃえばどうだ」「後ろじゃないだろう
それに相変わらず君は’前を’見ているはずさ」
「・・・じゃあ、後ろって一体どこにあるんだ?また思考停止かよ」 |
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