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 自宅と病院で血圧が違うんですが

 簡単に血圧が測れる器械が普及して、家庭や職場、スーパーなどで気軽にはかれるようになりました。
当院でも自宅での血圧測定をすすめています。よく患者さんから「家ではかるのと病院ではかるのと、
だいぶ違うんだけど、どっちがホントですか?」と言われます。誤差はありますがそのときの血圧という意味では
むろんどちらも本当です。ただし、高血圧でどちらが危ないかというと、むしろ家庭で高い場合のほうが
危険なのです。

 血圧は運動・食事・トイレ・温度などの他、精神的なストレスの影響を受けやすいため、一日の中でも
刻々と変化しています。また夏は下がって冬あがるなどの季節変化もあります。ただし長い間続けて
はかれば、その人のパターンがわかります。
これまで自宅では正常なのに、診察室ではかると血圧が上がるかたは「白衣高血圧」として知られています。
この場合脳卒中などになる危険は正常者と同程度で、積極的な治療は不要とされます。(ただし降圧薬を
飲んでいない方の場合です。将来の高血圧の予備軍であるとの報告もあり、注意は必要です)

 これに対し、その逆の現象があり、診察室で測る血圧がふだんの血圧より低くなる状態で「正常血圧という
仮面を付けた高血圧」という意味で、仮面高血圧とよばれています。将来の脳心血管の合併症を起こす
危険が非常に高い状態として、近年非常に注目されています。仮面高血圧の頻度は診察室での血圧が
正常な患者さんのうち約10〜20%といわれています。

 仕事のストレスが強い方やヘビースモーカーなどに多いと言われています。喫煙で血圧は急に上昇します。
待合室でくつろいでいるうちに血圧が下がるのではとも言われています。これを見破るためにはやはり自宅で
の血圧測定が重要です。特に、起床後一時間以内で朝食前、また降圧薬を飲む前に測定します。

 この時間に血圧が高い場合は仮面高血圧の可能性があります。さらに就寝前にも測定すれば、
夜間も持続して高いのか、ある程度予測できます。

 持続高血圧、夜間高血圧、早朝高血圧、いずれも、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高いことが
知られています。

 自宅での血圧測定を習慣にして、血圧手帳に記入して受診の時に主治医に診せるようにしましょう。




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