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 自分も親もぼけが心配です

 ただの物忘れでなく、食事したことを忘れたり、言動がおかしいと家族が感じたりする場合は
痴呆を来している可能性が高くなります。歳と諦めずに、病院で器質的疾患(治せる痴呆)を除外
しましょう。転倒後に徐々に発症する慢性硬膜下血腫や甲状腺の病気が、ぼけに見えることがあり、
またうつ病のこともあります。異常ないといわれた場合でも、機能検査が必要です。痴呆の度合いを測る
簡単なテストがあります。

 薬の作用も考慮しなければなりません。病院だけの高血圧(白衣高血圧)の場合、血圧低下が
意欲低下に見えることがあるので、自宅での血圧測定は重要です。薬を本人に任せると飲みすぎたり、
選んで飲んだりすることがあります。残数を家族が確認しましょう。

 もう歳なんだからなにもしないでと決めつけ放置するのも良し悪しです。転倒を怖がるあまり家にこもると、
筋力と気持ちが委縮します。'太陽光'と'笑い'と'良眠'には抗うつ作用があることが証明されています。
趣味や特技を生かせる環境と仲間を持ち、積極的に外に出ましょう。

 栄養補助食品の利用も一法です。イチョウ葉エキスは世界70カ国以上で医薬品として発売され、
痴呆に有効という報告がなされています。ビタミンC・Eにもある程度の効果が報告されています。
アルツハイマーの進行を遅らせるという薬も登場しました。ただし、無効な場合もあります。

 高血圧や糖尿病がある場合はその治療がもちろん大事です。すっかり悪者扱いのコレステロールですが、
あまり低すぎても死亡率が上がります。肉類の不足がうつ状態の一因となることもあります。
無理な減量や偏った健康法でなく、肉を含めた多くの品目をよくかんで腹八分に食べましょう。
根拠が怪しいものや高価な健康食品を漫然と買うことはやめて、本当に有効なものを長く続けましょう。
正しい情報で理論武装して、メディアに振り回され無用な不安にとらわれないことが肝腎です。
(北鹿新聞「お茶の間クリニック」)




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