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院長のエッセイ


 私の好きなこと

最近面白くて続けていることを徒然なるままに三つほど。

◆温泉巡り「あそぼうおおだて」

温泉と言っても、日帰り入浴可能な近場の湯ばかり。
昼休みに食堂巡りをして、ネタが少なくなってきた頃、ふと思いついた様。
探してみると、車でブラっと立ち寄れる日帰り温泉は20以上もあった。
銭湯より安く、150円から300円で入れる。
最初は、よそ者だしなどと考えたが、しょせんは裸同士。気を使わず湯を使う。
良く通うのは比内の湯か。清潔で広く、なにより達子の森の眺めが良い。大概空いている(失礼)。
どこの湯も、地元の共同浴場そして社交場、先輩諸氏がおのおののペースで湯を楽しんでいる。
ホント、念入りにからだを磨いている。
新緑の頃、露天で春風にあたり、紅葉の頃、秋空を眺めながらしばし陶然とする。
有名温泉の名物旅館でご馳走に舌鼓を打って、というのも良いが、昼間、はだかで湯に浸かるのは、
この上ない贅沢なのだ。
まちはすべて遊び場なのだ、と気づく。

◆食堂めぐり「ぶらぶらブランチ」

医院の給食がなくなり、さてと街に出たのがきっかけだったような。散歩がてらつらつら探す。
食堂を見つけるとブラっと入ってみる。予想通りの雰囲気、あるいはまた驚きの内装。
時代を感じさせる物もの、あるいは、新規開店の創意工夫。
ホームページで紹介するようになってから、大館中を網羅してやろうと意地になった。
当初は自分の足が頼りだったが、最近は同好の士も多く、ブログで新しい店やおいしい店を紹介してくれる。
そんなサイトにアンテナを張っておく。新しい店は、ほとぼりが冷めてから訪ねる。
どんな店のドアでも開ける度胸は着いたけど、並ぶのは大の苦手なのだ。
新しい店ができては消えてゆき、老舗もいつの間にか店じまい。
その一方で、インドカレーがあちこちに出現したり、なかなかに面白い移ろいがある。
おすすめの店は?と聞かれると困ってしまう。グルメとはちょっと違うのだ。
ストライクゾーンはかなり広い、いやボール球はないかもしれない。
昔ながらの大衆食堂で食べるラーメンが一番だったりする。
常連のお客とのやりとりに耳を澄ませたり、一対一のビミョーな緊張感を楽しんでみたり。
TVや雑誌で紛らわすのは勿体無い時空がある。

◆焚き火

「趣味は?」と聞かれたらこう答えるだろう。鉄製の簡単に組み立てられる焚き火台がある。
土曜の午後や気持ちのいい夕方、枯葉や枝木、木っ端を集める。
最初は炭まで使っていたが、この頃は要領が良くなり、すぐに火がつくようになった。
子供たちが枝を集めてきて、うちわで仰いで一緒に遊ぶこともある。
むしろ一人で庭につくねんとしていることが多い。
煙そうな顔で窓を閉めるかみさんには気がつかないことにする。
焚き火の目的は、焚き火だ。じゃがいもをアルミ箔に巻いて焼いて食べることもあるが、むしろ例外。
ただ、燃やす、燃えるものを見ている。炭のようにいい感じに熾きてくる。
夕焼けがいつの間にか星空になっている。星のようにチラチラと瞬く炎をみている。
物が燃えてなぜ炎になるのか、そういえば子供の頃「ロウソクの科学」を読んだっけ。いまでもわからない。
でもそれでいいのだ。焚き火を囲んでいた人間の頃のDNAが反応するのだろう。
あれ、またこんなにビール飲んじゃった。
(大北医報コラム「私の好きなもの」)



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