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 黄砂にご用心

原発事故以来、放射能の観測値を気にし始めた方も多いことでしょう。そして、日本各地で微量ながら
放射能が検出されることに驚くのではないでしょうか。事故以前から日本で観測される放射性セシウム137
は大陸由来のものがあり、これに黄砂が関与していることが確認されています。

春になると車体や干したシーツが黄色いホコリで汚れることに気がつきます。これが黄砂です。
黄砂は大陸内陸部の砂漠や黄土高原など、乾燥・半乾燥地域で、風によって数千メートルの高度にまで
巻き上げられた土壌・鉱物粒子が偏西風に乗って日本に飛来し、大気中に浮遊あるいは降下する現象です。

気象状況により変動しますが飛来は比較的長期にわたり3月から5月にかけて多く、西日本だけでなく
広くほぼ全国でみられます。自然現象ではありますが、視界不良や汚染の他に、土地や森林への影響、
さらには大国の公害が加わることにより、人体への影響が問題視されています。

黄砂自体はアレルギーを引き起こさないとされますが、付着した細菌やカビの死骸、金属、化学物質が
引き金になると考えられます。また大気汚染物質(窒素酸化物や硫黄酸化物など)が付着して
これを吸い込むことにより、咳や痰、喘息などの呼吸器症状を引き起こしている可能性があります。
実際、中国や韓国では気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増加が問題となっています。

日本でもこの時期、鼻汁、肌の荒れやかゆみのようなアレルギー症状や、風邪を引いた後、しつこい咳に
悩まされる方も多いようです。花粉症とも重なり、因果関係の証明は難しく、意見の分かれるところです。
しかし放射性物質と同様、目に見えないこと、持続的にさらされる蓄積効果などを考慮して、
早めに個人で対策することは無駄ではないでしょう。

対策としては屋外でのマスク(N95というウイルスにも有効なタイプのものがお勧めです)のほか、
飛散が多いときはシーツや布団、枕カバーを外で干さない、肌の露出を控えて入浴やシャワーで洗い落とす
などです。花粉症対策に準じるイメージです。もちろん掃除や禁煙も大事です。
これらは放射線対策としても無駄にはならないと考えられます。

黄砂の飛散状況は気象庁のホームページなどで確認できます。過度に怯える必要はありません。
「想定して対策を行い」あとは身体を養生しながら元気に暮らしましょう。

しかしながら、今時は天津での爆発事故もあり、猛毒物質も降りかかりそうです!
(27年追記)(23年5月 北鹿新聞「お茶の間クリニック」)




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