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院長のエッセイ


 誇大広告・世論誘導・社会実験?

厚生労働省は再編が必要な公立病院を424も名指しで挙げて衝撃を与えました。お
役所的な数字を積み上げて分析し裁断した感は否めなく、やはり異論・反発を呼んで
います。

ところで厚労省の試算や見通しは変遷して当てにならないという「実績」があります。
公表した医療費の将来推計は過大すぎると物議を醸してきました。確かにかつての2
025年の医療費未来推計を見ると、下記のごとく平然と修正しているのです。

1995年での2025年の医療費推計 141兆円

1997年での2025年の医療費推計 104兆円

2000年での2025年の医療費推計  81兆円

2005年での2025年の医療費推計  65兆円

なんと10年で76兆円の下方修正!これに対し日本医師会は2025年度を49兆円
とする独自の試算を公表し国会でも議論されました。現実
の2018年度の医療費は
42.6兆円でしたが、厚労省はこれを「医療費抑制政策の効果」と謳うのでしょう。

財政破綻を訴え消費税増税を迫る財務省よろしく、政府は医療費が今後激増して医
療保険が破綻するとして制度改革をすすめてきたが、その根拠に出した医療費の将
来予測は現実から乖離しています。算出根拠の提示と修正、医療費抑制の名の下で
繰り返されてきた国全体での社会実験への反省、当然と思えるこの作業を厚労省に
は求めたい(無理ですが)。

人口減、高齢化、その高齢者の減少、病院の縮減、これは起こるでしょう。しかし、お
役所が描いたような通りには進むまい、進ませまいと思う。人々はただの大衆ではな
く、理知を持ち刻々と変化する環境に適応して行動するヒトビトなのです。






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